疾患
disease

胆のう結石は胆のうの入り口付近にできた石のことを指します。胆のうだけでなく、肝臓や胆管にも石ができることがあり、その場所によって名称が異なります。
「右側の腹部に強い痛みを感じる」「油っこい物を食べた後に痛みが出る」などの症状が出ることがありますが、その症状はさまざまです。
コレステロールの高い食事や運動不足で肥満の傾向になると、胆のう結石になりやすいといわれています。

胆のう結石とは

胆のうとは肝臓の裏側にあり、胆管という管につながった袋のことをいいます。肝臓で作られた「胆汁」という消化液を貯めておく役割があります。
この胆汁は、脂肪の消化などに役立つ消化液で、胆管は膵臓の中を通過して十二指腸に通じて、ここに胆汁を出します。

「胆石」とは肝臓や胆管、胆のうにできる石のことをいいます。胆石が肝臓にあると肝内結石、胆管にあると「胆管結石」、胆のうにあると「胆のう結石」と、どの部分にあるかによって名前が異なります。

胆のう結石の症状

胆のう結石があると必ず症状があるわけではありません。胆のう結石がある方のおよそ4分の1の方が無症状といわれています。また、症状が出てもその症状は多岐にわたっています。

胆石疝痛発作

胆のう結石で多い症状は右側の肋骨あたりの右上腹部の急激な痛みです。
食事の際に症状が出ることが多く、特に油分の多い食事をすると、胆のうが収縮して胆汁を出そうとしますが、胆のう結石が胆のうの出口にはまり込んで、胆汁が出せない状態になることがあります。そうすると、うまく収縮できない胆のうが腫れて痛みが発生します。一般的には1~2時間で収縮が収まり、出口を塞いでいる胆石が外れると痛みも消失します。

発生するタイミングは夕食後が多く、就寝中でも痛みが出ることがあるため、痛みで目が覚めることがあります。

痛みが自然収まらない時には、胆のうの収縮を和らげるお薬を処方してもらい、服用することで胆石が外れて収まることも多くなります。
胆のう結石があるとわかっている方で、腹部に強い痛みを感じたら、すぐに病院を受診するようにしましょう。

急性胆のう炎

胆石疝痛発作が起きた時に早い段階で、胆石が外れると問題がないのですが、長い期間胆のうの入り口を胆石が塞いでしまうと、胆のうに炎症が起こってしまうことがあります。このことを「急性胆のう炎」といいます。
急性胆のう炎になると、強い痛みを伴い、内部で細菌が増殖して悪化すると敗血症を引き起こすこともあります。さらに、ひどくなると胆のう壁が壊死して、破れて腹膜炎を起こすこともあります。かなり深刻な状態のため、早期の治療開始が必要となります。

痛みの出やすい場所

  • 右の肋骨の下
  • 背中全体に感じる痛み
  • おへその周辺
  • 右の肩甲骨
  • 腰周辺

このように痛みが出る場所も一定ではなく、さまざまな場所に痛みを感じます。
また、急激な痛みだけでなく、重い感じや肩こりのように張った痛みなど、痛み方は様々です。

痛み以外の症状としては、「発熱」があります。発熱は、収縮した時に胆石があり、胆のうの中で胆汁が上手く排出されないと、細菌感染を引き起こして生じる症状です。悪化すると急性胆のう炎になり、腹痛と高熱が出ることもあります。
ただし、痛みが特定されず発熱だけがある場合には「風邪症状」と診断されることもあり、症状が悪化してしまうことがあります。

右の肋骨を触ると硬さを感じたり、押すことで痛みを感じたりする場合には、病院を受診した時に伝えると診察がスムーズになります。
そのほかの症状としては、胆石が胆道にはさまっていたり、胆のうが炎症を引き起こしていたりして腫れると「肝機能異常」や「黄疸」の症状が出ることもあります。
肝機能異常を調べるためには、採血をします。
ビリルビンの値を測定すると分かりますが、黄疸の症状が進行すると、白眼や皮膚が黄色くなるなどの自分でも確認されやすいです。

胆のう結石の原因

胆石は胆汁の成分であるコレステロールとビリルビンが何らかの原因が重なってできると考えられています。最も多い胆石はコレステロール結石といわれるものです。
肝臓の役割の一つにコレステロールの排出があります。コレステロールは水には溶けないため、一部は胆汁の中に溶け込ませて肝臓の外に排出します。胆汁の中のコレステロールが増えすぎてしまうと、胆汁酸とのバランスが崩れてしまい、コレステロールが結晶化して胆石が作られる原因になります。

胆石の多くは、胆汁の中のコレステロールの値が高いことによって引き起こされると考えられています。そのため、脂分の多い食生活が胆石の原因に関係しているといわれています。

そのほかに入院中の絶食や妊娠などの体調の変化、先天的な異常のため引き起こされていることもあります。

胆のう結石の検査

超音波検査(腹部エコー)

胆のう結石の検査は超音波検査(腹部エコー)で確認します。胆のう結石になる前の段階の細かい「胆砂」「胆泥」といわれるものも確認することができます。
ただし、超音波検査は内臓脂肪が多い体格や内臓の形になって見えにくい部分が出ることがあります。

CT検査

CT検査による様々な検査が増えてきたことから、CT検査をすることで胆のう結石が確認されることもあります。CTの場合には、立体的に身体の内部を確認できるので、見えない部分はありませんが、胆石の種類によってはCTに写らずに見えない胆石もあります。

MRI検査

MRI検査でも胆石が確認することができて、胆汁の中に黒く写ります。MRIの場合には、ポリープも黒く見えるため、区別することが難しい時には超音波検査やCT、内視鏡と組み合わせて検査をすることがあります。

胆のう結石の治療法

胆のう結石の中で、薬で溶けやすい胆のう結石は薬を内服して様子を見ることがあります。症状が少ない場合には、内服薬を試みることがありますが、痛みが強い時には手術による治療が必要です。

開腹胆のう摘出手術

従来の胆のう結石の手術方法で、右側の腹部を切開して直接胆のうの状態を確認しながら切除する方法です。腹腔鏡手術をしている場合でも、直接確認した方がよい場合には、安全を優先して開腹手術に切り替わることもあります。

腹腔鏡胆のう摘出手術

開腹手術に比べて切開する範囲が狭いため、負担の少ない治療法です。お腹に4か所腹腔鏡を入れる部分を確保して(5~15ミリ程度)二酸化炭素でお腹を膨らませて、視野を確保します。スペースができたら、腹腔鏡を入れてモニターで確認しながら長い鉗子を入れて身体の外で器具を操作します。

胆のうの摘出手術で一番はじめに候補にあがるのは腹腔鏡胆のう摘出手術です。腹腔鏡手術であれば、入院期間も1週間以内のことが多く、手術後1日目から食事も食べることができるため、体力の回復も早い特徴があります。胆のう結石の方で痛みが強くない場合には、全身の検査を行ってから手術を開始することが多くなります。

急性胆のう炎の手術

急性胆のう炎では、痛みが強いことが多く、胆のうの炎症が強いと壊死の可能性もあるためできるだけ迅速な対応が必要です。
発症してから早期に手術する必要があるため、緊急の手術になることも少なくありません。これは、時間が経過してしまうと、合併症が増えるため、安全に手術するために早期の手術を行います。

高齢の方や全身の状態は思わしくない方の場合には、細菌感染した胆汁を排出するために細い管(ドレナージチューブ)を挿入して治療することもあります。
また、急性胆のう炎が落ち着いて時間が経過してしまった胆のう炎では抗生剤で細菌を安定させてから、腹腔鏡手術を行うこともあります。

胆のう結石の危険因子

  • 油分の多い食事(特に急激な肥満)
  • 長期間に及ぶ絶食やチューブからの栄養
  • 胆石の家族歴(遺伝)
  • 加齢
  • 妊娠
  • 糖尿病
  • 肝硬変
  • クローン病(回盲部切除手術)

胆のう結石の予防方法

日本でも食の欧米化が進んで、脂肪分が多く、コレステロールの高い食事が好まれて食べられるようになってきました。それに伴って、肥満や生活習慣病などが増加しており、生活習慣を見直すことが求められています。
胆石は「40代以上の女性」「ストレスの多い方」「座って仕事をする方」に多く発症することが知られています。

胆石ができることを防ぐためには、脂分の多い食事を控え、3食を規則正しく摂ることが大切です。肥満は胆石ができやすくなるといわれていますので、体重をコントロールすることも予防に有効です。

食事の時のポイント

決まった時間に食事を摂取する

胆汁が出るタイミングが不規則になると、胆汁がたまりやすくなり、胆石ができやすくあります。そのため、規則正しい時間に食事を摂取することが望ましいです。

魚介類・野菜・果物を多く摂取する

魚介類に多く含まれる「タウリン」には、コレステロールでできた胆石を大きくならない働きがあります。
野菜に多く含まれる食物繊維はコレステロールの吸収を抑える働きがあります。
果物に含まれるビタミンCには、胆汁酸を増加させて胆汁の排出を助ける働きがあります。

水分をよく摂取する

1日2リットルを目安に摂取することをおすすめします。

ゆっくりよく噛んで食べる

食事をしっかり噛みながら食べると満腹感を得やすく、大食いを防止する効果も期待できます。

適度な運動をする

食事以外に気をつけられることは適度な運動をすることです。これは、適正な体重をコントロールすることにも繋がり、肥満を予防する効果も期待しています。
また、適度な運動でストレスを発散してリフレッシュする効果もあります。

よくある質問

胆のう結石の症状がない場合はどうしたらよいのでしょうか?

CTが検査で用いられる機会が増えて、症状がなくても胆のう結石が発見されることがあります。症状がない場合は、基本的にはそのまま何もせず経過観察をすることが多いです。主治医の先生と相談してみましょう。

胆のうをすべて取らずに石だけ取ることはできるのでしょうか?

胆のう結石だけを除去しても、3年後には約50%が再発するといわれており、手術を繰り返すことは患者さんの負担になるため、現在は行われていません。

手術を受けたくないのですが…。

条件がありますが、お薬で石を溶かす治療法もあります。ただし、胆のう機能が良好でコレステロール結石の場合で、結石が1センチ以下のケースに限ります。

まとめ

胆のう結石は4分の1の方無症状はなので、知らない間に胆のう結石ができている可能性があります。脂分の多い食生活が原因になることが多いため、コレステロールの多い食事は控えることが大切です。健康診断でも発見されることがありますので、定期的に受診することをおすすめします。

記事執筆者

しおや消化器内科クリニック 院長 塩屋 雄史

出身大学

獨協医科大学 卒業(平成11年)

職歴・現職

獨協医科大学病院 消化器内科入局
佐野市民病院 内科 医師
獨協医科大学 消化器内科 助手
佐野医師会病院 消化器内科 内科医長
さいたま赤十字病院 第1消化器内科 医師
さいたま赤十字病院 第1消化器内科 副部長
しおや消化器内科クリニック 開業(平成26年)

専門医 資格

日本内科学会認定内科医
日本肝臓学会認定肝臓専門医
日本医師会認定産業医