疾患
disease

胆管結石は胆石(たんせき)のひとつで、肝臓から十二指腸まで繋がる「胆管」にできた結石です。胆管結石ができると、食後2時間くらいまでに「上腹部痛(胆道疝痛:たんどうせんつう)」「吐き気」「嘔吐」といった症状が現れます。感染が起こると「発熱」や白目・皮膚が黄色くなる「黄疸(おうだん)」も現れます。ただし、高齢者では症状が出にくく、急に意識障害を起こすようなケースもあります。
胆管結石は胆のう結石と比べて重症化しやすく、敗血症・重症すい炎といった重篤な合併症を引き起こすことから、診断された場合にはすみやかな治療が望まれます。
食後に上腹部の痛み・吐き気・嘔吐などの症状がみられる方は、一度お気軽にご来院ください。

胆管と胆石の関係

胆管とは肝臓と十二指腸を繋いでいる管のことで、長さは約10cm~15cm、太さは約0.5cm~1cmです。胆管の中には「胆汁(たんじゅう)」が通っています。
胆汁は食事で摂取した脂肪分やビタミンの消化吸収を助ける消化液で、肝臓から分泌され、胆管・胆のう・十二指腸乳頭部(総胆管の出口部分)を流れて十二指腸に入ります。
この胆汁の通り道(胆道)にできる結石を「胆石(たんせき)」と呼び、厳密には3つの種類に分けられます。そのひとつが「胆管結石」で、胆管にできた結石です。ほかに、胆のう内にできる結石「胆のう結石」、肝臓内にできる結石「肝内結石」があります。発症頻度は、胆のう結石が約8割、胆管結石は約2割、肝内結石は約2%となっています。

(図)胆石の種類と位置

胆管結石の原因

胆管結石を含む胆石とは、胆汁に溶けているコレステロール・ビリルビン*1などが結晶化した物です。

*1ビリルビン:血液中の赤血球が役目を終えた後に作られる黄色い色素。「胆汁色素」とも呼ばれ、増加すると黄疸が現れる。

また、胆管結石は結石の成り立ちによって、発生要因が異なります。

  • 胆のうからの落下結石
    胆のう結石は別名「コレステロール胆石」とも呼ばれます。コレステロール量が増えることで、胆汁に溶けきれないコレステロールが結晶となり、徐々に塊になっていきます。
    主に黄白色の球形で1cm前後の大きさです。
  • 胆管内で発生した原発結石
    主に「ビリルビンカルシウム石」であり、胆のうからの落下結石よりも大きいとする報告があります。胆汁の流れが悪くなり、胆道内で細菌感染を起こすことがあります。

胆管結石の症状

症状が現れないこともある「胆のう結石」とは異なり、胆管結石ではほとんどのケースで、次のような症状(胆石発作)が現れます。
なお、これらの症状は主に食後30分~2時間くらいの間にみられます。

  • 上腹部の痛み(胆道疝痛)・不快感
    強弱のある痛みが繰り返し起こります。
  • 吐き気・嘔吐

ただし、高齢者では症状が現れにくく、急に意識障害を起こすことがあるので、要注意です。
また、胆道で詰まり感染を起こすと、次のような症状が現れます。

  • 発熱
  • 黄疸(皮膚や白目が黄色くなること)

胆管結石の検査・診断

胆管結石を含む「胆石」の疑いがある場合には、次のような検査を行います。

胆管結石の検査

  • 問診
    自覚症状やどんなときに症状があるかなど、詳しくお伺いします。
  • 画像検査
  • 腹部超音波検査(エコー検査)
    お腹にゼリーを塗って超音波プローブを当てて、胆石の有無、胆のうの状態などを確認します。胆のう結石の場合はほぼ診断可能ですが、胆管結石の場合は診断能が50%前後とやや低いです。
  • MRI検査・(MRCP検査:磁気共鳴胆管膵管造影検査)
    MRCP検査とはMRI装置で胆のう・胆管・膵管を描出する検査です。胆管結石・すい臓のう胞性病変を詳しく調べるのに特に優れています。
    胆管結石での診断能は約95%と高く、胆管結石が強く疑われる症例に有用な検査なので、主に超音波検査での診断が難しい場合に行うことがあります。
    ※MRI検査(MRCP検査)が必要と判断される場合には、さいたま赤十字病院などの基幹病院をご紹介いたします。
  • 腹部CT検査
    CTとはComputed Tomographyの略で「コンピュータ断層撮影」です。
    放射線を利用して撮影して、画像を三次元に表示します。石灰化胆石や胆のう周囲の炎症確認、悪性腫瘍(胆のうがん)が疑われる場合などに行うことがあります。
    当院のCT装置には、最大50%のノイズ低減処理(被ばく低減再構成)と、患者さんの体形に合わせて最適線量を自動調整する機能が搭載されています。
    ※当院のCT検査の詳しい内容は、「CT精密検査ページ」にて説明しています。
      https://www.seimitsu-ct.com/
  • 超音波内視鏡検査(EUS)
    超音波内視鏡検査とは、内視鏡の先に付いている超音波画像装置で、胆のう・胆管・すい臓などを詳細に観察する検査です。一般的に3~4mm以下の小さい胆管結石はMRI(MRCP)検査で捉えられず、石灰化していなければCT検査でも見つけることは難しいとされています。画像検査を行っても結石の有無が分からず、小さな結石が疑われるようなケースでは、超音波内視鏡検査で精査することがあります。
  • 内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)
    口から専用の内視鏡を入れて十二指腸まで進め、すい管や胆管内に細い管(カテーテル)を直接挿入し、造影剤を注入してからX線撮影を行います。胆管結石、胆道がん、慢性すい炎などの診断ができるほか、そのまま内視鏡的乳頭括約筋切開術や内視鏡的乳頭バルーン拡張術の治療を行うことも可能です。
    ※入院が必要な検査です。さいたま赤十字病院などの基幹病院をご紹介いたします。
  • 血液検査
    胆管結石に特異的な検査項目はありませんが、胆石発作(疝痛発作)があるときに血液検査を行うと、炎症反応や肝機能系の数値の上昇がみられ、胆石の存在が強く疑われます。また、胆管結石に閉塞性黄疸・急性すい炎などを合併すると、ビリルビンの上昇がみられることもあります。

胆管結石の診断
血液検査・画像検査などから他の病気が確認できず、画像検査により「胆管結石の存在」を確認できた場合には、「胆管結石」と診断します。

胆管結石の治療

狭い胆管に胆管結石が詰まると、胆汁の流れが悪くなってすぐに黄疸が現れ、胆管炎に繋がる可能性が高くなります。さらに胆管炎が重症化すると、命の危険がある合併症に直結するため、症状のあるなしに関わらず、胆管結石はすみやかな治療が望まれます。
胆管結石の治療では、お腹を切らずに行える「内視鏡的治療」が第一選択となります。
通常、1週間程度入院して行われます。
※胆管結石に対する内視鏡的治療や、胆のう結石に対する外科的治療が必要な場合には、さいたま赤十字病院など基幹病院をご紹介します。

  • 内視鏡的乳頭切開術(EST)
    EST術は胆管結石治療の第一選択です。内視鏡を用いて十二指腸側から胆管の出口部分(十二指腸乳頭部)に電気メスを入れて、切開して広げ、胆汁が流れるようにする方法です。通常眠っている間に行う治療となるため、痛みの心配はありませんが、入院は必要となります。
  • バスケットカテーテル・バルーンカテーテルによる内視鏡的結石除去術
    EST術に続いて行う治療で、バスケットカテーテル(先端が網のようになっているカテーテル)もしくはバルーンカテーテル(先端が風船のように膨らむカテーテル)で結石を除去する方法です。

ほかに、結石が1cm以上と大きい場合には、結石を砕いて破砕片を取り出したり、経口胆道鏡下でのレーザー結石除去を行ったりしますが、内視鏡的治療ができない胆管結石では、外科的手術による治療を行います。
また、胆のう結石を合併している場合には、内視鏡的胆管結石除去術後に腹腔鏡下胆のう摘出術(外科的治療)を行います。

よくあるご質問

胆管結石ができやすい人は、どんな人ですか?

胆管結石の多くは、胆のうから胆管に落ちてきた結石(胆のう結石)です。
胆のう結石は「コレステロール胆石」とも呼ばれており、高脂質食の過剰摂取が主な原因とされています。
また、胆石は男性と比べて、女性の発症が約2~3倍多く、特に次のような「5つのF」を持つ方に発生しやすい傾向があるとされています。

  • 40~50 (Forty~Fifty)
  • 肥満傾向 (Fatty)
  • 女性 (Female)
  • 白人 (Fair)
  • 多産婦 (Fecund)
  • ほかにも、糖尿病・脂質異常症などの基礎疾患がある方、ストレス・睡眠不足の方、血縁に胆石症患者さんがいる方、過剰なダイエットをした方も、胆石ができやすいとされるため要注意です。

    胆石の発生を予防するにはどうすれば良いですか?

    次のようなポイントに注意すると良いでしょう。

  • 適度な運動を行い、適正体重を心がける
  • 血中コレステロールや中性脂肪が高くなると、胆石ができやすくなります。適度な運動を行って適正体重を心がけることで、脂質異常や生活習慣病を予防し、胆石の発症リスクが抑えられます。
    特に40代~50代の女性では、女性ホルモンの低下に伴い、血中コレステロールが増加しやすい傾向があります。ウォーキングなど軽い運動で良いので積極的に行って、肥満予防に努めましょう。

  • 規則正しい食生活をする
  • 高脂質や高コレステロールな食事は胆石を発生させる原因となります。さらに、食事間隔を開け過ぎたり、逆に暴飲暴食や過度なアルコール摂取を行ったりすることも、胆石発生リスクを高めます。1日3食、栄養バランスの良い食事を摂るよう努めましょう。また、脱水も胆石発生リスクが増加するため、こまめな水分補給が大切です。
    なお、胆石がある方は、脂っこい食事やアルコール摂取をすることでコレステロールが増加して胆石発作を誘発することがあります。

    まとめ

    「胆管結石」は、胆石のうち20%程度です。食後の上腹部の痛み・不快感などの症状(胆石発作・疝痛発作)が現れることが多いのですが、高齢者では症状が現れないまま急に意識障害に陥るケースもよくあるので、注意が必要です。
    胆管という狭い場所にできるため、胆汁の流れが悪くなりやすく、重症化する傾向があります。敗血症・重症すい炎といった命の危険がある合併症に直結する恐れがあるため、迅速に治療することが重要です。
    食後の上腹部の痛み・黄疸・発熱などを認める方は、すみやかにご受診ください。

    記事執筆者

    しおや消化器内科クリニック 院長 塩屋 雄史

    出身大学

    獨協医科大学 卒業(平成11年)

    職歴・現職

    獨協医科大学病院 消化器内科入局
    佐野市民病院 内科 医師
    獨協医科大学 消化器内科 助手
    佐野医師会病院 消化器内科 内科医長
    さいたま赤十字病院 第1消化器内科 医師
    さいたま赤十字病院 第1消化器内科 副部長
    しおや消化器内科クリニック 開業(平成26年)

    専門医 資格

    日本内科学会認定内科医
    日本肝臓学会認定肝臓専門医
    日本医師会認定産業医